労災保険特別加入Q&A

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中小企業事業主として特別加入しても労災保険から給付されるか判断に悩む対象者がおります。それは労働者又は労働者に準ずる者を雇用しない法人事業主です。継続事業で労働者が不在でも弊害は無いと伺ったことがありますが、特別加入をして問題はないのでしょうか?
中小事業主が労災保険に特別加入が認められる条件として常時使用する労働者が存在する、又は労働者を使用する日の合計が1年間で100日以上というものがあります。従って労働者が存在しない事業所では中小事業主特別加入は出来ないと思います。ですが、労働者を近々雇い入れる予定があるケースなど労働保険関係を直ちに消滅させるほどの状態ではない場合に継続事業で労働者が不在であっても中小事業主特別加入の効力が残っているという意味で労働者が一時的に不在でも弊害は無いということでしょうか。
建築事業で一人で働いている事業主の特別加入の話が来ておりますが、たまにパート、アルバイトを使用することがあるかもしれないそうです。どのように対応すればよろしいでしょうか?
労働者を使用するのであれば労働保険関係を成立させて中小企業主特別加入で対応されるのが無難かと思いますが、実態は全くパート、アルバイトを使用しないようでしたら、一人親方として特別加入されるのがよろしいと思います。
建設業の下請事業所から労災保険を適用したいという問い合わせが多いのですが、実際には元請工事が無く適用不要かと思いますし、特別加入についてもやりようがないのですが、下請に入った現場では事業主も含めて労災認定をしてくれるのでしょうか?
100%下請で且つ従業員を常時使用している事業所の事業主は特別加入制度の穴になると思います。この場合、年に1回位は元請工事を請けるという前提で保険関係を成立して差し支えないと思います。下請事業所の 労働者の業務災害補償責任は元請事業者であり、特別加入者が業務災害を被った場合はその現場が元請事業であるか否かに関わらず労災保険の補償対象になると 思います。
労働者が事業主の同居の親族であった場合、労災保険の適用外と言われました。この同居の親族は取締役ではないため、中小企業主特別加入は出来ないのでしょうか。特別加入をするため、役員登記を勧めるべきでしょうか?
中小企業特別加入をする上で取締役の登記は必須事項ではありません。この場合は同居の親族という形(例えば代表取締役の妻など)で特別加入をされればよろしいかと思います。
従業員1名の小企業の社長は怪我をしても健康保険から給付されるので、特別加入をしないケースがある。何か通達があれば教えて下さい。
平成15年7月1日の通達(保発第0701002号)に て、被保険者が5人未満の適用事業所に所属する法人の代表者であって、一般の従業員と著しく異ならないような労務に従事している者については、業務遂行の 過程において業務に起因して生じた傷病に関しても、健康保険による保険給付の対象とすることとなりました。
但し、既に労災保険法の特別加入をしていて、労災保険から給付を受けられる者については健康保険からの給付の対象にはなりません。また、健康保険の傷病手当金については支給されません。
労災保険特別加入の適用対象となる中小事業主等の範囲を教えて下さい。
条件により様々ですが、原則として個人事業主であれば事業主・その配偶者・3親等内の親族、法人であれば代表取締役・取締役・代表者の妻や長男等です。
以前、監査役は特別加入が出来ないという取扱いでしたが、どのような経緯で特別加入できるようになったのでしょうか?
監査役は商法において取締役にも労働者にもなれないとなっておりますが、中小企業においては商法の規定に関わらず実態として賃金を得て労働に従事している場合があります。そうした背景から今日では監査役であっても労災保険に特別加入が出来るようになりました。
執行役員の労働保険をどのように取り扱ったらよいですか?
執行役員は商法で定められた取締役ではなく、一般の労働者と同じ賃金を受けています。従って特別加入ではなく、一般の労働者として労災保険に加入することになると思います。
顧問・相談役は中小事業主等に含まれますか?
役職の名称に関わらず、実態に即して労働者性の有無や取締役であるか否かを総合的に勘案して中小事業主等に含まれるか否かを判断します。
常勤役員及び非常勤役員はどのような条件があると中小事業主等の特別加入ができますか?
常勤・非常勤に関わらず、その役員が労働者性を持ち得ているか否かで判断します。労働者性が無い場合は中小事業主等の特別加入が出来るものと思います。
平成18年4月に労災保険法の「通勤」の定義が改正され、通勤災害の範囲が拡大しました。従来は認められていなかった就業場所から他就業場所への移動=複数就業者の事業場間の移動や単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動が通勤として認められることになりましたが、特別加入者の場合も同様に取り扱ってよいのでしょうか?
特別加入者も一般の労働者と同様に労災保険法の改正の適用を受けられると思います。但し、一人親方の特別加入者で自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送事業については、従来通り通勤災害は認められません。
平成18年4月に労災保険法の「通勤」の定義が改正され、通勤災害の範囲が拡大しました。
従来は認められていなかった就業場所から他就業場所への移動=複数就業者の事業場間の移動や単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動が通勤として認められることになりましたが、特別加入者の場合も同様に取り扱ってよいのでしょうか?
個人事業主の奥様又はお子様の労災保険加入については、税法上、専従者になる人は特別加入として取り扱っていますが、特別加入ではなくて一般労働者としての加入も考えることは可能でしょうか?
労災保険は税法上の専従者か否かは問わず、労働者性があるか否かと同居の親族であるか否かで判断されます。 従って、ここでの奥様やお子様が事業主と同居されているならば、包括加入を原則とした家族従事者として一般労働者としての加入ではなく、特別加入としての適用を受けるものと思います。
特別加入者の場合には労災認定が非常に厳しいと聞いたことがあります。時には社員と同様の作業でも時間帯などで否決されたケースもあると聞きますが実際にはどうなのでしょうか?
なお、当労働保険事務組合では否決のケースは過去に無かったと思います。  特別加入者は一般労働者とは違って労働契約が存在せず、指揮命令を受けることなく、自己の判断により業務を行うのが通常である為、どこまでが業務行為でどこまでが私的行為であるのか、判断するのは非常に困難です。
その為、この判断を一律に行う為、厚生労働省労働基準局が定める基準に従い、この基準に合致しないケースは否決されるということになると思います。その意味では、特別加入者の労災認定は厳しいとは言えると思います。
事業主の長男(非役員・別居の親族)が怪我をしました。親子関係である為、会社の登記簿謄本と住民票の提出を求められましたが、就業実態調査は他にもあるのではないでしょうか? 小企業においては負担です。
就業実態調査は他にもあるかもしれませんが、登記簿謄本と住民票は行政が証明する公的書類ですので一番信頼できるものと思われます。 正確な保険給付を考える行政側のご判断ですので、致し方無い面があると考えます。
特別加入した社長の労災からの補償対象業務を労働者としての行為に限定しているが、社長としての行為も補償の対象にしないと特別加入制度の意義は半減してしまうのではないでしょうか?
特別加入は労働者災害補償保険法の主旨に沿う形で業種、内容を規定しての認可事項なので、止むを得ないものと思われます。
個人事業主の事業所で代表者と兄弟等(住所は別)が一緒に仕事をしている場合、従業員の扱いでの処理は出来ないのでしょうか。又、住所地が同じ場合はどうなるのでしょうか?
事業主と住所が別であって、従業員と同様に事業主の指揮命令下にあれば、労働者と見なされるかと思いますが、労働時間の管理などがなく、他の従業員と同様に事業主の指揮命令下に無ければ特別加入の必要が生じるものと思います。また、住所が同一であっても、世帯が別である場合についても事業主の指揮命令下にあって、他の従業員と同様に管理されている親族も一般の従業員と見なされると思います。
中小事業主特別加入者が所定労働時間外に被災した場合、労災保険から給付は受けられないのでしょうか?

中小事業主特別加入者の業務上外の認定は、次の①~③の場合に業務遂行性が認められており、労災保険から給付を受けられるものと思われます。

①特別加入申請書用紙の業務の内容欄に記載された所 定労働時間(休憩時間を含む)内に特別加入の申請に係る事業のためにする行為(当該行為が事業主の立場において行う事業主本来の業務を除く)及びこれに直 接付帯する行為(生理的行為、反射的行為、準備・後始末行為、合理的行為及び緊急業務行為をいう)を行う場合。

②労働者の時間外労働に応じて就業する場合。これは所定労働時間外における特別加入者の業務行為については、当該事業場の労働者が時間外労働を行っている時間の範囲において業務遂行性を認めるものである。

③ ①又は②に接続して行われる業務(準備・後始末行為を含む)を特別加入者のみで行う場合。

なお、休憩や食事等で一時中断するなどした場合には業務遂行性が認められないものと思われます。

中小事業主特別加入者だけの接待が酒宴とは限らず、食事程度のことでも労災給付は難しいのですか。又、特別加入者だけの勉強会なども労災給付は難しいのでしょうか?
中小事業主特別加入者が労災保険から補償を受けられる前提条件として、事業主自ら他の労働者と共に労働することが求められておりますので、このケースでは労災保険からの補償は受けられないものと考えられます。
中小事業主特別加入者が出勤前にクーラーの不具合を直していたところ、負傷しました。この場合、労災保険から給付は受けられるのでしょうか?
中小事業主特別加入者は所定労働時間内に特別加入申請書に記載されている業務内容について労災保険の補償対象とされます。
また、所定労働時間外であっても、所定労働時間内に行う業務の準備後始末行為も特別加入者に対する補償対象とされていますので、今回のケースではその業務との業務遂行性が認められれば労災保険から補償されるものと思います。
従業員が週に2~3日の勤務形態で従業員がいない時に事故が起きた場合、労災保険は認められるのでしょうか?
中小事業主の特別加入の範囲として、労働者を年間通じて1人以上使用することはもちろん、労働者を使用する日の合計が年間100日以上となることが見込まれる場合も含まれます。 従って、週2日であれば年間で100日以上となりますので、所定労働時間内ならば労災保険からの補償は受けられるものと思います。
以前は労働者を雇用していたのですが、その後、労働者が退職してしまいました。この状況で社長夫妻が特別加入しておりますが、今、労災事故が発生した場合は労災保険から補償はされないのでしょうか。社長は今後、労働者を採用する気持ちはあるようですが。また、労働保険事務組合としては、労働者が0人になった場合にすぐに委託解除すべきなのでしょうか?
原則として労働者が0人となった時点で労災保険の適用事業所ではなくなったわけですから、その時点で労働保険事務組合は委託解除すべきかと思います。
ただ、このケースのように労働者を採用する予定がある場合には、委託解除してまたすぐに労働者を採用したので成立届を提出するのは実務的には手続きが煩雑になります。
労働者の採用がすぐに見込まれるようでしたら、委託解除を少し遅らせるのも仕方がないのではないかと思います。 また、このケースでの労災事故の取扱いについては、労働者を使用する日の合計が100日以上見込まれる場合に該当するか否かで労災保険からの補償が受けられるか否かが決定されるものと思います。
業種がまたがる場合に数種類に特別加入するのは大変なので、高い業種での特別加入で全て適用にならないでしょうか?
同一の中小事業主が2以上の事業について各々保険加入している場合、各々の事業で特別加入する必要があると定められているので、1つの特別加入で全て適用というわけには出来ないと思います。
そういったことも考慮して、労働保険事務組合に委託するというメリットが中小事業主には及ぶのではないでしょうか。
一人親方は所定労働時間が無いはずですが、給付書類に所定労働時間を記入することを指導されるのは何故ですか?
一人親方であっても業務災害だけではなく、通勤災害も業種によっては保険給付の対象となるため、行政側としては適切に保険給付を認定する際にも所定労働時間を把握しておく必要があるからだと考えます。
「代表取締役の長男」として特別加入しておりましたが、代表取締役が変更となった場合、この長男は特別加入を続けることは出来ないのでしょうか?
代表取締役が平取締役になった場合、又は完全に退任した場合のいずれのケースでもこの長男がその後、事業所において労働者性の有無で判断すべき事例かと思います。労働者性が有れば一般労働者として、労働者性が無ければ特別加入者として労災保険に加入されればよい事例かと思われます。
特定業務の健康診断が必要な薬品・振動機器・粉塵の具体的作業がよく分かりません。何か明確な基準は無いのでしょうか?
特定業務の具体的作業につきましては労働安全衛生法に定められております。この特定業務に該当した場合は労災保険法により特別加入時に健康診断の受診の必要が出てきます。
特別加入者の現認証明書や休業証明書はどのような時に必要となりますか?
特別加入者が休業補償請求書(様式8号)を請求する時に、1回目の請求時に現認証明書と休業証明書が、2回目以降は休業証明書が必要となってきます。
一元適用の設計事務所の特別加入者が建設現場で設計確認・設計打ち合わせ業務等を行っている時に怪我をしても労災から給付を受けることは可能ですか?
特別加入をした際、業務の内容を建設現場での設計に関する業務として申請してあれば、労災保険からの給付は受けられるものと思われます。
特別加入の申請及び追加の手続きをする際、特別加入希望者の業務内容について詳細を記入する必要は無いのではないでしょうか?
行政側が労災保険からの給付を決定する際に、予め業務内容について届出して頂かないと労災か否かの判断が出来ないので必要不可欠なのではないかと思います。

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